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スキル・知識・現場観 ・・・ ホテルや旅館、飲食店のリーダーに必要なこと

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先日、あるホテルのリーダー研修を担当しました。このホテルは現社長が一代で築き上げられたもので、大宴会場や温泉もあり、売上も好調です。


社長のいまの大きな悩みは「次世代のリーダーをどう育てていくのか」という点で、今回ご相談がありました。匿名で一部フィクションであれば記事にしてよいとお許しを頂きましたので、その研修内容をまとめます。



まず研修を始める前に、各セクションのリーダークラスと面談を行い、個人の考えや身に付けているスキル、知識レベルを知る必要があります。彼らの現場での行動や考え方、仕事への取り組み方などを細かく質問し、現状を把握します。



この時点で、一つ大きな問題に気づきました。


彼らは、例えばフロント、バンケット、浴場、売店、施設管理、それぞれのリーダーとして技術的・現場で必要なスキルは十分に持っています。


様々な資格や級を持っているスタッフもいて、向上心もあるようです。それ故に、自分の仕事にはかなりの自信を持っています。



しかし、ここでまず問題として挙がったのは「そのスキルを自分の言葉で説明できない」ということです。


経験として体得してきたスキルを部下や後輩にどう教えていいのかわからない、というリーダーも多く、それは本人も自覚しているようです。「自分の背中・行動を見て学べ」は職人の世界ではよくあることですが、一般的なホスピタリティの現場では通用しません。



さらに、別の問題として「そのスキルが(悪く言えば)我流であり、他社の現場では役に立たない可能性がある」ということも見えてきました。


その会社のやり方、というのはある程度どこの現場にも存在します。それが他社の現場で通用するかどうかは、また別問題です。他所では応用が利かないスキルを身に付けている人もちらほらいらっしゃいました。



今回のリーダー研修で取り上げたこと、それがこのコラムのタイトルである「スキル・知識・現場観」です。



■ リーダークラスの人たちなので、それなりのスキルはあるでしょう。それが他社の現場でも通用しますか?



■ リーダーとして自分の仕事の知識が十分にありますか?それは常にアップデートされた最新の情報ですか?我流のスキル・思い込みではなく「基本に基づいたスキル」「今の時代に合った最新最良の知識」が自分の中にありますか?



■ 自分の経験値を基にした「現場感」で話や指導をするのではなく、経験値+客観的な知識や情報に基づいて形成される「現場観」を持っていますか?



「現場観」は私たちが意図的に使っているキーワードで、リーダー個人の感覚ではなく、客観的な情報・知識に裏打ちされた正確な目で現場を観ることです。


この現場観がないリーダー、個人の経験値とスキルで自信を持っている人が非常に多くいます。この様なリーダーの下で働くスタッフや部下は、正直かわいそうです。



このようなリーダーは、部下や後輩を指導することはできません。その会社内で通用するスタッフは育成できても、他社では通用しない可能性があります。


一人でも部下や後輩がいるリーダーは、自分には「他社でもどこでも通用するスキル」「基本的な知識と最新にアップデートされた知識」があるかどうか一度自分を見直し、その上で「スキルと知識に裏打ちされた客観的な現場観」で現場を回しているのか考えてみましょう。



写真:Pixabay · 魅力的なフリー画像 https://pixabay.com/


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