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私の人生で一番素敵で最高だった花束

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あと2か月半程で50歳になります。それなりにいろんな経験をしてきました。大学では音楽を専門に勉強しており、この時代の流行り通りにバンド活動もして、ライブでもたくさんの花束を貰ってきました。ドライフラワーにして部屋中に飾っていました。



ここで私がもらった「一番素敵で最高だった花束」を記すことにします。


大学ではクラシックの作曲を専攻しており、その時に学科授業の一つとしてオーケストラの授業もありました。その実力を試す?披露する?為に、夏休みの期間中私たち学生が自主的にそのオーケストラ全員で過疎地の小学校や中学校に演奏旅行に行っておりました。



私が大学三年生の時、その実行委員長&指揮者としていった小学校での話です。


その小学校は全校生徒12名の本当に小さな小学校です。3年生が一番上級生でした。対して私達オーケストラは80名以上います。


かなり標高の高いところにあり、夏でもプールはビニールハウスで覆われているような学校です。


校長室には各児童がどんな「山道」を通って登下校しているのか詳細に掲示されており、万一の時も駆け付けられるようにしてありました。


その地図にはそれぞれの生徒たちの写真が貼ってあったのですが、驚いたことに全員ヘルメット&ヘルメットの上にライト(石炭夫の様な)での登下校です。


正直な感想は「過疎地にもほどがある!」と唖然としたのを覚えています。



当然この子たちが生のオーケストラに触れる機会などなく、小学校の体育館に私達オーケストラが出てきた時には児童みんなもの凄く緊張していました。


小学3年生の男の子が「いまから音楽会を始めます」とガチガチの緊張状態で挨拶してくれ、私たちは少し微笑ましく思いながら演奏を始めました。


わかりやすい曲からあえて少し難しい曲まで織り交ぜたのですが、ずっと真剣に聴いてくれて、私たちは演奏しながらものすごく感動していました。



すべての演奏を終えて指揮台から降り振り返ると、そこには小学1年生の男の子と女の子が花束とともに。


「昨日学校から帰る時と、今日学校に来る時に、みんなで道のお花を摘んできました。どうぞ」


もう、オーケストラ全員号泣です。私も本当に心底、なんとも言葉に表せないくらい猛烈に感動しました。



花束はかなりしおれていました。くたっとしていました。でもそこには私たちのことを思いながらこの子たちが摘んできてくれた想いがものすごく詰まっていま
した。


大学に戻りすべての花を一つずつしおりにして、みんなで分けました。



これが「私の人生で一番素敵で最高だった花束」です。もうこれを超える花束は貰うことはないかと思います。


これを超える花束、貰ったことありますか?私の自慢です!


そして「本当に気持ちのこもったおもてなし」「感謝の気持ち」には、お金や豪華さは絶対にかなわないんだな、と今でも思います。



時々この時のことを思い出して「お金がなくても人を感動させることは出来る」と再認識しています。



写真:Pixabay · 魅力的なフリー画像 https://pixabay.com/

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