18.12.30
あなたの便利は誰かの不便
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業務の流れを改善・改良することは非常に大切なことです。事業再生では基本的にそれを推し進めます。ただ注意したいのは、自分たちの便利さや効率性を優先しすぎて、お客様にはご不便をおかけしている可能性がある、という点です。その点を注意しながら改善することで、私たちにもお客様にも利点がある win-win の関係が出来上がればベストです。
例えば、これまで単品で提供していたドリンク類をドリンクバーに置き換えると
■ スタッフ側は、お客様毎のドリンク注文に対応する必要がなくなり、他の接客に集中出来たり、またスタッフ人員を減らすこともできる。
■ お客様は、好きなときに好きなものを好きなだけ飲める。スタッフをわざわざ呼んだりする煩わしさもない。
▲ お客様にご負担がかかる。またそれを望んでいない方も一定数いらっしゃる。
また、某大手格安ホテルチェーンが行っているのは
■ スタッフは、お客様がいらっしゃる前に掃除~布団敷まで終わらせてしまい、ご来館時には部屋に布団が敷いてある。夕食や朝食はブッフェ形式で、個別盛にする手間や個別のオーダーに対応する必要がない。
■ お客様は、入室後にスタッフの出入りを気にせず過ごせる。また昼食・朝食とも好きなものを好きなだけ食べられる。各種人件費が抑えられるので、宿泊費も安くなっている。
▲ 入室段階から布団が敷いてあり、部屋が狭い。また風情も損なわれている。
上記2点は、スタッフ・お客様双方にとって利点があり、▲の部分はありますが、大きな面では win-win の関係になっています。
対して、例えば高齢者が多く来店するレストランで、スタッフの負担を減らす(便利にする)為に、飲み放題食べ放題にスタイル変更した場合、
■ 高齢者のお客様にとっては、フリードリンクの機械まで歩いていくのは一苦労であり、また同様にお料理を取りに行くのも大変である。
■ そんなに多くは食べられないのに食べ放題の店に変わってしまい、以前より味・質ともに落ちてしまった。
という場合もあります。
この場合は、自社のスタッフやその動きに便利さ・利便性を求めるあまり、お客様の不便さまで頭が回っていません。この様に何かを改善・改良する場合、私たちは必ずまず「あなたの便利は誰かの不便」という言葉を伝えます。そしてその改善が誰かの不便を生み出していないか、改善ではなく改悪になっていないか、それを必ずシミュレーションしています。
相手の立場になって考えよう、ということはよく言われていますが、具体的に考える際にはこの「あなたの便利は誰かの不便」という視点から考えていきましょう。
この点を検証する際、よく使うのは Pros Cons リストです。詳しくはこちらをご覧ください。
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