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客席稼働率と回転数(回転率) ・・・ 学生の勉強にどう対応するか

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最近「学生が長時間勉強している。どう対応すればいいか?」という相談をよく受けます。ファミリーレストランやファストフード店では特によく見かける光景です。「静かな図書館より多少うるさい方が集中できる」と、夕方ごろには学生たちに占拠される店もあります。

場所を変えて勉強をすることは環境が変わって刺激があり効果的、ということは経験上理解できます。ただ今回は、店舗経営の面からこの問題にどう対応すべきか考えてみます。


検討すべきは、客席稼働率と回転数です。簡単に言えば「自店舗の客席がどのくらい使われているのか」、また「一定時間でお客様は何回入れ替わるか」です。


仮に、2名席x10、4名席x10、カウンター1名席x20 の全部で80席の店舗だとします。

この席すべてにお客様が着席した場合、客席稼働率は100%となります。ただ実際は、2名席に1人/4名席に2~3人/カウンター席の横の椅子に荷物を置くなど、団体客の事前予約を除き客席稼働率が100%になることはまずあり得ません。この客席稼働率をできるだけ大きな数字、100%に近い数字に近づけるよう経営者は努力しています。

またこの店舗のランチタイム11:00-14:00の時間帯で平均の客席稼働率が70%の場合、一度に56名様のご利用がある計算となります。

仮に、この56名のお客様が11:00-14:00までずっとご利用の場合、回転数は1となり、ランチタイムのご利用は56名様です。この客席稼働率のまま、例えば11:00-12:30、12:30-14:00と上手い具合にお客様が入れ替わった場合、回転数は2となり、ランチタイムのご利用は112名様です。

忙しい時間帯にはできるだけ早くお食事を済ませ次のお客様に席を譲ってほしい、と思うのが店側の本音です。ある店舗さんの相談に対応した際、この回転数を上げるため食後のコーヒー 200円税別を食後のテイクアウトであれば無料サービスという施策を行い、かなり顕著な効果が出ています。食後にそのままゆっくりコーヒーを飲まれるより、テイクアウトでその分早く席を空けてもらう、ということです。


ちなみによく使われるワード 回転率 は「お客様数÷総座席数」で計算します。例えば、上記ランチタイムで1回転の場合56÷80で0.7、2回転の場合112÷80で1.4です。一日終了後の反省や戦略としてのマーケティングや経営に関して精査する場合、この回転率を用いてお客様の流れを分析します。ただ実際の日々の業務中は、目に見える回転数を常に意識した方がよりわかりやすいかと思います。

回転数、また客席稼働率を常に意識するということは、例えば1名様その次に3名様がお待ちの場合、4名卓が空いたとしても(お客様にご了承頂いて)3名様を先に通し、もうすぐ空きそうな1名カウンターへご案内(お礼にコーヒーサービス等)、などパズルのように常に頭で考えることです。


ここで本題の「学生の勉強」です。上記の客席稼働率/回転数の例でおわかりかと思いますが、長時間の席・卓占有による勉強にどう対応するべきか、それは「その時間帯に見込める客席稼働率および回転数(回転率)」によって判断します。

例えば、ランチタイムなど短時間で回転が見込める時間帯は勉強禁止、16:00-17:00過ぎまでの閑散とした時間帯であればOK、などその店舗の現状に合わせるのも一つの手です。

常にお客様が入れ替わる店舗では、経営の面では全面禁止にしたほうが良いでしょう。まったくお客様のいない時間帯があれば少しでも売り上げがあがるよう学生に開放する、という考え方もありです。この時間帯は勉強OKということを事前に張り紙やHPで告知し、時間になったら声かけて席を空けてもらうという戦略が成功している店舗もあります。


ファミレスやファストフードでは、勉強を全面禁止にしたり時間帯を限定したりする動きが出てきています。他のお客様からの苦情(席がない、勉強せずに騒いでいる、など)に対応している面もあります。

他社の動向は参考にはなりますが、自店舗のご利用状況を時間帯ごとに詳しく精査し、自社に合った対応を検討してみましょう。


よろしければ過去記事もご参照ください。

https://delighting.co.jp/blog/seat/




Image by Karolina Grabowska from Pixabay 

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