20.07.11
マズローの欲求5段階説 ・・・ 観光業 with コロナ 時代を段階的に考える
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当社は普段、宿泊業・飲食業・観光業、またその関連ビジネスに携わっています。withコロナ 時代を迎えるに当たり、マズローの欲求5段階説を基に、お客様やマーケットの現状や今後(New Normal)を改めて考えてみます
最初に、マズローの欲求5段階説をご存じない方の為に、簡単に解説します。「マズローの欲求5段階説(6段階説)」は米心理学者 アブラハム・ハロルド・マズロー が唱えた説で、人間の欲求は「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求/所属と愛の欲求」「尊厳欲求/承認欲求」「自己実現欲求」に分かれているという考え方です。
マズローの欲求5段階説
■生理的欲求・・・食欲・性欲・睡眠欲の三大欲求の他、呼吸、水を飲むなど生命を維持するための最低限必要な欲求
■安全欲求・・・身の安全・秩序・平和、そして今回のコロナ禍対応など、安全で安心して生活できる環境への欲求
■社会的欲求・・・他人から愛情を得たい、グループや組織などに所属して他の人と関わっていきたいという欲求
■承認欲求・・・ 周りからの尊敬・地位獲得、認められたい、一目置かれたいなどの欲求。そして、この欲求には「他人から認められたい」「自分自身で自分を認める」という二つの視点があります。
■自己実現欲求・・・自己成長・自己の可能性や理想を実現していく欲求。
* マズローは晩年にこの5段階に「自己超越」(自分の事ではなく社会的に意義のあることに見返りも求めず没頭する)を加えて6段階としました。
コロナ禍以前、これまでの Normal な世界
これまでの観光業(宿泊・飲食・旅行・交通など)は、基本的に日本での普段の生活が安全である、という前提で成り立っていました。生理的欲求が脅かされることがないのはもちろん、戦争や疫病を心配することもほぼありません。突発的に起こる地震や豪雨に直面すると一時的に安全欲求を見直す期間がありますが、それでも他国に比べ日本の安全性は特筆すべきレベルです。
お客様はこの生理的欲求・安全欲求を意識する必要がなく生活面では精神的に余裕があるため、社会的欲求~自己実現欲求、さらには自己超越などへ目を向けることが出来ていました。この精神的な余裕こそが、休日に旅行しよう、ドライブに行こう、美味しいもの食べようという行動に繋がっていたのです。
with コロナ、いわゆる New Normal の世界
コロナ禍を経験してきたお客様の関心は、いま安全欲求段階まで戻っています。旅行や観光のキャンセル、外出自粛、企業や店舗の自主休業など、「安全に、そして安心して生きていくためには」という意識が根底にあります。この状態ではほとんどのお客様に精神的余裕はなく、観光やレジャーなど余暇の過ごし方に目を向けられることはありません。
観光業で最初に動き始めるのは、最低限必要となるビジネス上での交通・宿泊・接待飲食の利用となり、一般的な観光や忘新年会などのご宴会飲食はその後になります。
お客様のニーズという言葉がありますが、このニーズを「最低限必要」「必須なこと」と考えるとビジネスでのご利用が当てはまり、いわゆる観光旅行・仲間とのお食事はニーズではなくウォンツ・デマンドとなります。
*ご参考までに、当社HP関連記事です。
今後 GO TO キャンペーンで観光喚起が始まり、ある一定の効果は見込まれますが、過去の Normal 時代のボリュームには程遠く、また第二波発生時には一気に萎む可能性もあります。このキャンペーンによって観光業が復活する、と判断するにはコロナ禍の動向をもうしばらく見守る必要があります。
with コロナ で対応すべきこと
お客様の関心が安全欲求レベルである以上、徹底してその段階の欲求にお応えする必要があります。自社での衛生面はもちろんですが、お客様ご自宅~自社までの移動も含めた安心感が必要です。観光業に携わる方は、自社の衛生面だけでなく自社までのルートに関わる企業がどのようなコロナ対策をしているのか、それを把握しておきましょう。道中のことも含めてお客様からのお問い合わせに答えられると、強い信頼と安心感につながります。
自社の衛生に気を配っている方は多くいらっしゃいますが、自社利用されるお客様の旅行行程まで気を配る方はほとんどいらっしゃいません。当社お取引先には、お客様がご利用になる交通機関や、観光地図に記載の周辺施設がどのような衛生対策をされているか把握するようアドバイスしています。
ご利用をご検討いただけるお客様の欲求段階を、安全欲求から上げ、少しでも安心してご利用いただけるように準備を整えましょう。
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