18.11.03
CRM・・・顧客を囲い込む戦略を考えましょう
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CRMは「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客管理」や「顧客関係管理」と呼ばれます。顧客管理はどの企業もされているはずですが、単に「顧客台帳」で管理する時代は終わり、そのデータをビジネスに活かす必要があります。
CRMはIT技術を活用するのでそのシステム自体を指す言葉と混同されがちですが、そもそもはマネジメント手法の名称です。CRMが注目され始めたのは「顧客を囲い込む必要」が以前よりも急速に増してきたためです。少子高齢化による対象になるお客様の減少、簡単にオンラインで価格や品質を比較・取り寄せができる状況、そんな中で一度でもご利用頂いたお客様を囲い込むことが必須になります。
例えば、ホテルや旅館ではこれまでの単なる「宿泊名簿」ではなく、過去のご利用履歴・頻度・嗜好などを活用し、積極的なアプローチを行っていきます。何度もご利用頂いている「Aクラス顧客」、年に一度同じ時期にご利用頂いている「Bクラス顧客」・・・・資料請求やお問い合わせのみの「見込み客」等に分けて、そのグループにあったアプローチが必要です。
この時に、以前取り上げた LTV(Life Time Value 顧客生涯価値)を思い出し、ぜひ活用して下さい。
何度もご利用頂いているお客様の為にリピーター割引や会員証を準備する、毎年同じ時期に来られているお客様にはご予約時期にDMを発送する、見込み客の方々には時限クーポンで特典付きのアプローチをするなど、グループごとのCRMを検討します。このようなグループ分けをする際にITシステムが欠かせないため、このシステム自体をCRMと思っておられる方は多いようです。全くの間違いでもないですね。
単なる一覧表や台帳であった顧客情報を営業戦略の強力なツールにするのがCRMのシステムです。身近な例では、コンビニなどでよくご存じのPOSシステム (Point of Sales) は、お客様の性別・年齢層、その日の天候、時間帯などで「何が売れるのか」を把握することが出来ます。
ただ、このシステムは「同じ人の来店頻度・リピート率・購入履歴」や「興味を持ったけど買わなかった人」のデータは取れません。それに対し、Amazonや楽天などのオンラインショップでは、購入履歴だけでなく前回の訪問日時や今後買いたいものリストを表示したり、一度検索したものや同類のおススメを随時いろんなHPに広告表示するなど、顧客情報や動向を徹底的に有効活用しています。実店舗ではこの部分を補うために会員カードやポイントカード制を導入し、同一人物の購入履歴を把握できるようにしました。
この会員カードやポイントカードは FSP (Frequent Shoppers Program) 飛行機などのマイレージサービスは FFP (Frequent Flyer Program) と呼ばれています。最近いろんな企業が会員システムを導入するのは、会員獲得はもちろん、そこから得られるデータに非常に価値があるからです。
ホテル業界ではルートインホテルズがPontaカードが使えますということを、ラジオCMでよく流しています。宿泊客からみたら「Pontaポイントがたまる」お得さがあり、ホテルはポイント還元分の損しているのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし企業側は顧客のデータ管理だけではなく、既存顧客と同様の属性を持った新規客にアプローチするためのデータを得ることが出来ます。Tポイントやポンタカードなどにいろんな業種の会社が参画しているのは、そこに蓄積された、また追加されていくデータにとても魅力があるからでもあります。
中小企業では費用的にも規模的にもまずは「自社の顧客データベースの有効活用」を検討してみましょう。そのデータの規模は小さくても、過去のお客様情報は自社にとって宝の山ですよ。
写真:Pixabay · 魅力的なフリー画像 https://pixabay.com/
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