19.02.05
あえてシステマチックな接客スタイルを創り上げた例
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一般的に、システム的な、マニュアル的な接客は嫌われます。私たちもこの点を注意・変更するようにアドバイスすることがよくあります。やはり心のこもった対応こそホスピタリティの神髄です。
ただ、あえてマニュアル対応、PCのシステムに合わせた接客、お客様には「コンピュータ処理上、どうしようもない」という対顧客システムを創り上げたことが数件あります。
あるレストランでは飲み食べ放題の時間管理が甘く、お客様から強く言われたスタッフが多少の延長を見逃したり、また厳守したスタッフがお客様から嫌味を言われたりしていました。
また別のレストランでは、期限が数日切れた割引券を持参した少々高圧的なお客様からの要望を渋々受け入れていました。
このようなケースではスタッフが矢面に立ち、そして結局は経営に損害を与えています。最悪な場合、経営者がそのスタッフを叱っていることもありました。
私たちがこの現状を目にしたとき、スタッフが厳しく時間・期間管理することではなく、この点はシステマチックに対応できるようにしたらどうか、と考え提案しました。
それはコンピュータで時間・期間を管理し、その時間外・期間外のものは自動的にはじかれるシステムを構築したのです。
最初のレストランでは、スタート時間を印刷した紙が伝票として渡され、会計時には終了時間が追記、自動的に料金が計算されるようにしました。
また、割引券を出していたレストランでは、コンピュータ上その割引が反映されない”ふり”が出来る簡単な仕組みを作りました。ここは、そんな素振りが出来る見せかけだけのシステムでした。
詳しくは割愛しますが、このようにして時間管理・期間管理はシステマチックに行うように改善しました。
このようなシステムは大手チェーンでは普通に採用されていますが、それはきちんと利益を上げる・確保するためです。もちろんそれは重要ですが、私たちがこの改善を行ったのは別の目的です。
ここで皆さんに気づいて頂きたいのは、この改善は「お客様に時間・期間を厳守して頂くこと」ではありません。
私たちは「スタッフを守るため」にこのようなシステムを採用したのです。
スタッフたちは経営的にまじめに仕事に取り組めば取り組むほど、お客様からの苦情を受ける可能性があります。個人責任ではない面で責められることもあります。
そのスタッフたちを守るために「システム的に受付できない」「自動的に計算されるので私にはどうしようもない」など、システムを理由にして、またシステムのせいにして、お客様の苦情の矛先を「システム」「会計マシン」に向けるためです。
結果、お客様からの時間・期間に対する苦情は激減し、それでいてスタッフとお客様の関係は良好という状況を生みだしています。会計時にお客様と一緒に苦笑いしているスタッフさえいます。
このシステマチックな接客を採用した理由は、スタッフが余計なことを気にしたり、それに振り回されることなく、自分のホスピタリティに専念してもらえるようにするためです。
このようなシステマチックな改善も、ホスピタリティの改善に大いに役立つこともあります。
写真は、安川電機さんの最先端ロボット やすかわくんがお祭り会場でソフトクリームを作っている一コマです。地元のお祭りで写真を撮りました。
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