25.11.11
「視線恐怖症」に配慮した空間づくり:宿泊・飲食施設が見落としがちなポイント
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宿泊・飲食の現場でつい見落とされがちですが、「視線恐怖症」という特性に配慮することは、実はお客様の快適性向上につながる大切な視点です。
視線恐怖症は「人の視線を極端に気にしてしまう症状」というイメージが強いかもしれませんが、実際には 写真やイラスト、さらには置物の目線でも強い負担を感じる方が一定数存在します。特にリアルな人物写真や大きく写った目・顔がこちらを向いている絵柄は、「見られている感覚」を呼び起こし、落ち着かないという声が多くあります。
視線恐怖症の方が負担を感じやすい掲示物の典型例としては、
・人の顔が大きく写った写真
・認識できる大きさの、複数の人物が写っている写真
・人物画やキャラクターの目線
・置物など“こちらを見る構図”の展示物
などが挙げられます。
接客業で特に注意したいポイントは、共有空間よりも、お客様が長時間滞在する場所や、逃げ場のない閉じた空間ほど心理的負荷が強くなるという点です。以下のエリアでは、そのような掲示物がないか一度見直してみる価値があります。
・客室・洗面・トイレ
・食事個室
・小さな休憩スペース
・セミプライベートの待合室
これらの空間は本来「くつろぐための場所」であり、視線によるストレスがあるとリラックスが阻害されてしまいます。特別な投資は必要ありません。「目線のある写真・絵・装飾・置物」をチェックし、自然モチーフや抽象アート、地元の風景などに入れ替えるだけで、空間の安心感は大きく変わります。
お客様により安心して滞在していただくためにも、ぜひ一度、「視線のストレス」という観点から館内の掲示物や装飾を点検してみてください。
最後に。写真は私がどこかのマクドナルドで撮影したものですが、この視線の強さには思わず「早く帰らせるためなのだろうか?」と考えてしまいました……
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