19.05.13
マーケットイン/プロダクトアウト ・・・ 中小のホスピタリティ企業が意識すべきこと
記事一覧»
大手資本に比べて資金力・人材力が劣る中小のホテル・旅館・飲食店は、独自の戦略を採ったり、オリジナリティを出そうと懸命になっています。
そのこと自体にはなんら問題はありませんが、「何とか個性を出さないと経営が上手くいかなくなってしまう」という焦りが先に出て、自社が相手にすべきマーケットが見えていない経営者の方も多くいらっしゃいます。
経営状態が思わしくない時に焦りが出てしまうのは仕方ありませんが、それが空回りにならないよう、まずは自社が取るべき戦略及びその対象となるエリア・お客様を精査しましょう。
商品やサービスを提供する企業がビジネスを展開する上で、大きく分けて二つのアプローチ方法があります。
その二つのアプローチとは次の通りです。
■ プロダクトアウト
■ マーケットイン
プロダクトアウトは、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon / Aの企業順は入れ替わって表記されている場合もあり)のように、これまで世の中になかったサービスや商品を作り上げ、新たな市場を作り上げていくことです。
主に企業側のテクノロジーの進化やサービスに対するアイデア・発案主導で進められていくので「プロダクトアウト」と呼ばれています。
ホテル・旅館業界においては、Airbnbなどの新たな動きである「民泊」がこれに当たると捉えてもいいでしょう。(但し、民泊に関してはマーケットインの面も大きくあります。)
プロダクトアウトはこれまでなかったもの・サービスを開発・提供することで新たな市場を創造・開拓し、圧倒的な優位性を獲得できる可能性があります。
これからは自動車の自動運転やキャッシュレス化による支払方法の多様化、AIを取り入れたサービスなど、これまでの生活スタイルを大きく変える様々な変化が起こるでしょう。
過去には Sony Walkman / docomo i-mode / J-PHONE 写メール / 任天堂 ファミリーコンピュータ ・・・・ 等、生活スタイルを一変させたテクノロジーがありました。
この様な変化を起こしたのがプロダクトアウトで提供されたた商品・サービスです。企業全体のコピーとして、旭化成の「昨日まで世界になかったものを。」は、このプロダクトアウトの特徴をよく表している表現です。
もう一方のマーケットインは、お客様のニーズやウォンツを基にマーケットで求められている商品やサービスを開発して提供していくアプローチです。
マーケットインを徹底的に行っているのがコンビニエンス業界や日用品を製造する業界です。お客様が欲しいもの・ことに徹底して応えていくビジネススタイルです。
わかりやすい例では、小林製薬が次々に出しているニッチな商品群もこれに当たります。小林製薬の「あったらいいなをカタチにする」というキャッチコピーはまさにマーケットインの考え方を表しています。
なぜ今回この話題を取り上げたのか、それはプロダクトアウトでもマーケットインでもなく、単に「自社が売りたいものをどうにか売ろうとしている」企業や、前述のように「経営が苦しいからなんとか新たな活路を見出したいと焦っている」企業をよく見かける為です。
プロダクトアウトは、新たな商品・サービスを開発することによって新規市場を造り上げたり開拓できることを大前提として進んでいきます。。
マーケットインは、お客様のニーズ・ウォンツ・デマンドを把握しそれに応えることにより、新たな顧客を獲得したり売り上げUpが見込まれています。
この様に、事前に十分な計画・予測・マーケット調査を行ったり、マーケティングによってニーズ・ウォンツ・デマンドを把握していることが重要です。
ホテル・旅館・飲食店において、このプロダクトアウト/マーケットインは(物としての商品開発とは違う為)少し視点を変えて応用する必要はありますが、サービス・商品開発のベースに置く必要があります。
自社が売りたいもの・販売したい料理は、新たな需要やマーケットに響くプロダクトアウトなのか、それともお客様のご要望や希望にお応えするマーケットインなのか。
単に「売りたい」「利用して貰いたい」と思って考えるプランやサービス、料理は、何も生み出しません。
中小のホテル・旅館・飲食店においては、マーケットインの考え方でビジネス展開していくことがほとんどでしょう。まず確実にマーケットインでお客様を掴みましょう。
また新たなサービスや商品を思いついた際には、プロダクトアウトの考え方で新たなマーケット・市場を開拓すれば唯一無二の最強のツールになります。
今回の内容に関して、過去のコラムにも参考になるものがいくつかありますので、併せてご確認ください。
■ ブルー・オーシャン戦略 ・・・ 自社独自の市場を開拓する
■ ニーズとウォンツ ・・・「お客様のニーズ」は「ウォンツ」ではないですか?
CATEGORY
WRITER
Director