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年商や売上高にだまされない・・・その会社・社長は本当に凄い!?

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若いスタッフや友人らと話していると「あの会社は年商〇〇億ですよ。すごいですねぇ!」や「あの社長は売上〇億達成したらしいです!」などという言葉をよく聞きます。

ちょっと待て!と何度か諭したことがあります。今日はその時の話をまとめてみます。内容的にはビジネス初心者向けです。


A君が年商10億円の企業の社長、B君は年商1億円の企業の社長だとします。これだけを聞いたらA君すごいなぁ!B君も頑張れ!と思うでしょう。

しかし、B君の方が年収が高い場合もよくあります。なぜでしょう? 年商は「会社や企業の年間の売上」年収は「その人の給料」です。


それぞれの企業が何を売っているのか、何を仕事にしているのか、まずそれを把握する必要があります。わかりやすいように極端な数字で説明しますね。


仮にA君の会社が「輸入自動車」を輸入・販売する会社だったとします。1,000万の車の仕入れ代金が700万だった場合、残りは300万です。そこから人件費や経費等を引いたら、最終的に会社に残る利益は50万円でした。

A君の会社の利益は年商の5%、金額換算で5,000万程です。


B君は、例えば弁護士や○○士、何らかのサービスを提供する会社だったとします。その様な業種の場合「販売する物の仕入れ」がありません。例えば1,000万の受注に対して人件費や経費を引いても600万残るかもしれません。

B君の会社の利益は年商の60%、金額換算で6,000万程です。


上記はわざと極端な数字対比にして例に挙げていますが、この場合、すごい!のはB君です。この例でも「年商や売上高はあてにならない」とお分かり頂けると思います。


また北九州市の百貨店 井筒屋 3店舗撤退のニュースからも年商・売上高が参考にならないことがわかります。


■(井筒屋:コレット閉店) コレットの18年2月期の売上高は約103億円だったのに対し、純損益は2300万円の赤字だった。赤字は2年連続。=2018/07/31付 西日本新聞夕刊=

■(井筒屋:コレット・黒崎・宇部の3店舗閉店) 3店舗の2018年2月期の売上高は計260億円と、井筒屋グループ全体の3分の1を占める。ただ、各店とも「利益は出ていない」(影山社長)状態で経営は苦しかった。=2018/08/01付 朝日新聞DIGITAL=


純損益とは「運営していく時に足りなかった分」です。これまでの貯金や、他のグループ店舗から「補充・補填」されている分です。

大きな売上を上げていてもそれを達成するための経費がさらにそれ以上必要であれば、運営を継続する必要がありません。皆さんが自宅で「1万円の材料費+自分の時間」で作った商品が9,000円でしか売れないようなものです。続けたくありませんよね?

仮に私がこの3店舗260億円の社長と言ったら、みんな「すごい!」と言ってくれると思います。しかし現状はこれまでの貯金を取り崩したり、仲間から借金して穴埋めしている金欠社長です。


上記二つの例から、年商・売上高を聞いた時には

●扱っている商品が高額な物なので、それで年商や売上高が大きくなっているだけじゃないのか?

●年商や売上高は凄いが、儲けは出ているのか?

までよく考えて、その上で「○○社長は凄い!」等と思うようにしましょう。それでも凄かったら、本当に凄い人!かもです。


* 写真はこのニュースを聞いた日に、自分で撮影した「コレット」です。

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