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泊食分離・・・この言葉をご存知ですか

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最近「泊食分離(はくしょくぶんり)」という言葉を聞く機会が多くなりました。皆さんご存知ですか?

簡単に言えば、主に旅館が設定している「1泊2食付プラン」だけでなく「素泊まりプラン」「1泊朝食付きプラン」などお客様(特にインバウンドを意識して)の選択肢・自由度を増やそうという取り組みです。名前の通り、宿泊と食事を分けて設定することです。

最近は旅館でも「素泊まり」プランや「一泊朝食」プランが多く見られます。また地域によっては「ご連泊されるお客様は1泊目を自館でとって頂ければ、2泊目はどこでとられても可 (提携した地元の食堂やレストラン、他の旅館も利用可)」という取り組みをされているところもあります。

特に大きな投資をすることもなく、プランを細分化・選択肢を増やすことでお客様の興味を惹くことが出来ます。また「空室」を減らす効果もあります。食事なしでも泊まって頂いた方が売り上げになりますからね。

この泊食分離の取り組みは検索するとたくさん出てきます。ぜひ調べてみて下さい。いろんな地域や企業の取り組みが参考になると思います。

今回私たちがこの言葉を取り上げたのは、この「泊食分離」というワードを別のことに使っている場合があるからです。
*一般的には使用されません。事業再生時の一つの考え方としてご参考までに。

今ではだいぶ減りましたが、10年ほど前のホテル・旅館は、例えば一泊二食料金を15,000円等と設定していても、金額内訳を細分化していないいわゆる「どんぶり勘定」のところが多くありました。

・・・いや、私たちが業務改善や事業再生を依頼されて取り組むようなホテル・旅館ですので、そのような勘定が多かっただけかもしれませんが・・・

料金体系を見直すとき、それこそ「泊食分離」で宿泊と食事に分け原価計算・経費・利益を洗い出し、またそれぞれに値段設定をして宿泊+お食事のパック料金を決める、という作業を行っていました。

「どんぶり勘定」の旅館の例では、1泊2食 18,000円の設定に対して料理の実質売値設定が朝夕合わせて7,000円程で料理の評判がとても悪いところがありました。部屋も大してよくありません。経営者が欲しい値段の設定です。

また別の旅館では12,000円の設定に対し朝夕の料理原価が5,000円かかっており、ご想像の通り料理の評判は大変良かったのですが、宿泊のみならず全体的に利益が出ていませんでした。

冒頭で述べたいま一般的に使われている意味での「泊食分離」は、まだこのことに懐疑的・否定的なホテル・旅館も多くあります。

ただ、ご自身のホテルに合っているかどうかはもちろん検討する必要はありますが、泊食分離に限らず、いろんなプラン・選択肢をお客様に提供することは、ほとんど投資をせずに改善できる手法の一つです。ぜひ検討してみて下さい。

写真:Pixabay · 魅力的なフリー画像 https://pixabay.com/

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