25.04.27
予約受付をやめた飲食店の判断とは?・・・ 客席回転率が改善された一例
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客席回転率アップにつながった、一つの事例
あるお取引先の飲食店さんが、春休み前に「予約受付をやめる」という決断をされました。それまでは「お客様の利便性」を最優先に、開店時間にかかわらず予約を受け付けていたのですが、その運用が思わぬ「機会損失」を生んでいたのです。
予約が空席を生む?思わぬ落とし穴
例えば、11:30開店のお店に12:00予約が入っていた場合、開店直後の30分でご案内できるお客様はかなり限られます。「30分じゃ足りないから」と入店を見送るお客様もいらっしゃって、その時間帯に空席が生まれてしまうことがたびたび発生していました。
私たちが現場で来店状況を調査したところ、営業中に発生する「予約と予約の間」の細切れ時間を合計すれば、あと数組ご案内できたことが判明したのです。
予約制度の功と罪
もちろん、予約はお客様にとって非常に便利な仕組みです。予定通りに来店できる安心感は、顧客満足(CS)にも繋がります。しかし一方で、下記のような課題もあります。
- 予約と予約の隙間時間を有効活用できない
- 「予約でいっぱい」という理由で入れない立ち寄り客が発生
- 混雑している印象を与え、ブランド体験を損なう恐れ
「予約でお客様を快適にするつもりが、他のお客様を遠ざけていた」、そんな逆説的な状況に気づいたお店が、今回の決断に至った背景です。
実際の効果と考え方のヒント
1か月間、予約状況と細切れ時間の動きを精査した結果、「予約受付をやめた方が、客席回転率が上がる」という判断に至りました。具体的な数値はお伝え出来ませんが、客席回転率はかなり改善されました。
もちろん、すべての飲食店に当てはまる話ではありません。ただ、「自店でも予約の隙間で空席が目立つな…」と感じることがあれば、予約制度の運用方法を一度見直してみるとよいかもしれません。
予約制度が有効なケースとは?
私たちは予約制度そのものを否定しているのではありません。むしろ以下のようなケースでは、非常に有効です。
- 新規開業など、まだ来客数が安定していない → 新規顧客獲得の手段として
- ファミリー層・高齢者・障がいのある方の利用が多い → 安心してご利用頂ける環境づくり
- コース料理など1回の滞在が長時間にわたる業態 → そもそも客席回転率に重きを置いていない
お店の営業スタイルや客層に応じて、最適な運用方法は異なります。
最後に
本記事は、予約受付をやめることで売上や客席回転率が向上したお取引先の事例をご紹介したものです。飲食店において、予約制度の設計は単なるオペレーションの話ではなく、店舗のブランディングや、お客様との関係性構築にも直結する重要なテーマです。今回の事例が、何か一つでも皆さまのヒントになれば幸いです。
※本記事は、掲載許可を頂いたお取引先の事例をもとに記載しています。
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