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時間計算の重要性 ・・・ 無駄な時間を徹底して洗い出しましょう

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「時間は大切です」「時間を有効に使いましょう」こんな言葉は誰でも何回も聞いたことがあると思います。


いろんな会社で当たり前のように言われています。そして「それはいいことですが、どういうことをされていますか?」と尋ねると、途端にあやふやな回答になるところが多くあります。



あるホテルチェーンで、社員全体で100台近いPCを使われているところがあります。そこのPCは安さを決め手に導入されています。その為、スイッチオンから実際に作業が出来るまでの時間(スイッチを押した瞬間からメーラーを立ち上げて受信メールが表示されるまでの時間)が3分5秒かかっています。


そのPCの性能ともう一つ上のPCの性能を比較した時、その差は1万円程でした。そしてその1万円高いPCは同様の立ち上げ作業にかかる時間が約1分です。(社長のPCだけ、このPCです。)


仮に100台のPCを購入されたとして購入費用は100万違ってくるので、その点慎重になられたのは理解出来ます。ただ、社長ら幹部はこの立ち上げの速度が遅いことは導入前にご存知で、ちょっと長いくらい問題ないだろ、という認識でした。



ここで「時間の重要性」の観点からこの導入について考えてみます。計算しやすいように、100台導入、今のPC立ち上がりまで3分(180秒)、1万円高いPC立ち上がりまで1分(60秒)とします。



■ 毎朝100台のPCが立ち上がる時に、180秒 x 100台 = 18,000秒が必要です。


■ 仮にすべてが1万円高いPCだったとすると、60秒 x 100台 = 6000秒が必要です。


■ 年間250日の業務日数があると仮定した場合、その差は (18,000秒 – 6,000秒) x 250日 = 3,000,000秒 です。


■ 3,000,000秒は約833時間、一日8時間勤務と考えると104日間の勤務日分です。


■ これはある一人の人(PC立ち上げ専門)が年間約104日、PC100台を立ち上げることだけに時間を費やしていることになります。



では、すべて1万円高いPCを購入し、最初の経費が100万円高く必要だった場合と比較すると



■ ある一人の人(PC立ち上げ専門)の人にかかる会社経費(給料+社会保険など)が月額200,000円だった場合、最初の経費100万円はこの人の5か月分の経費となります。


■ ということは、仮に初期投資が100万円高かったとしても5か月後にはプラスマイナス0、6か月以降はプラス効果に転じることになります。



上記計算は「立ち上げ時間」のみ計測していますが、この様なPCは実際の作業能力も比較的遅く、より余計な時間を浪費していると思われます。



私たちが事業再生の現場に入る時、最初はストップウォッチでいろいろな作業や動作、プロセスを秒単位で計測します。そして上記の様な計算をいろんな面で行い、時間の再管理を行います。


大抵の方々は「秒単位で管理されるのはさすがにどうか」や「そこまでしなくても」と言われます。


ただ、このPCの例からお分かりになるように、まず「秒単位で管理する」のは人以外の物理的な部分です。PCを入れ替えたり、サービス動線を変えたり、邪魔な事務器具や動線上の物体を取り除いたりと物理的に時間短縮を行い、「(スタッフに対し)意識して数秒短くしろ!」ということではありません。


また「そこまでしなくても」という点は、この様な時間の無駄が至る所にあるとそれだけで作業効率が落ちて余計な経費がかかってることに気づくべきです。


一見、PCの立ち上がりは1分でも3分でもよさそうですし、立ち上がる間にコーヒー淹れてます、と言う人もいました。ただ、台数が増えるとその分自然とコストがかかっており、それに気づいていない経営者の方々が非常に多くいらっしゃいます。



今回はこのPC立ち上げ時間だけを取り上げましたが、この様な無駄な時間はビジネスでもプライベートでもどこにでも転がっています。何か改善するだけで時間は生まれます。一度本気で「時間の重要性」を見直してみましょう。

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