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サンクコスト ・・・「もったいない」の中にひそむ無駄な勘違い

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皆さんも日々「もったいない」と感じることがよくあると思います。まだ食べられるものを捨てるかどうか、もう少し使えそうなものを廃棄するかどうか。このような「もったいない」気持ちを基準に、いろいろなことを判断・判別されていることでしょう。

もちろん「もったいない」という気持ちは大事です。そしてそれを基準に考えることも大切です。しかし本当に「もったいない」もの・ことはありますが、みなさんが勝手に「もったいない」と勘違いしていることも多々あります。


「サンクコスト」という言葉をご存知でしょうか。言葉を知らなくても皆様は実体験でよくご存じのことです。日本語では「埋没費用」と表現します。


■■■ Wikipediaから引用 ■■■

埋没費用(まいぼつひよう、英: sunk cost 〈サンクコスト〉)とは、事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止をしても戻って来ない資金や労力のこと

■■■ 引用終 ■■■


・おもしろそうだと思って借りてきたDVDが全然期待外れだった。だけど、せっかくお金払ったし「もったいない」から観ました。

・良さげだと思って買ってきた洋服が全然似合わない。だけど、買ったばっかりだし「もったいない」から保管しています。

・おいしそうと思って買ってきた食べ物が全然口に合わず、食べる気がしない。だけど、捨てるのも「もったいない」から、とりあえず冷蔵庫に保管しています。


こんな経験は誰にでもあると思います。しかし、この「だけど」が「サンクコスト」に当たります。


・おもしろくないDVDなのに、これまで費やした「レンタル代金」「借りに行った労力・時間」「少し観た時間」(これらすべてサンクコスト)に加え、さらに「おもしろくもないDVDを観る時間」を追加投入しようとしています。

・似合わない洋服なのに「購入にかかった労力・時間・コスト」(サンクコスト)に加え、さらに「これから保管する場所」「結局は捨てるなり売り払うまでの時間」を費やそうとしています。リサイクルショップに今すぐ売れば、使ったお金を少しは取り戻せるかもしれません。

・不味くて食べないものなのに「購入にかかった労力・時間・コスト」(サンクコスト)に加え、さらに「冷蔵庫内のスペース」「冷蔵保管費用」「廃棄するまでの時間」がかかります。


このように、「せっかく○○だから、もうちょっと△△」と考えることは、新たな無駄を生み出す場合があります。この時の最初の「せっかく○○」の部分がサンクコストです。日常生活において、このような経験は誰にでもあるでしょう。その時に、この「もったいない」という気持ちが新たな無駄を生むだけの「もったいない」ではないか、を判断する必要があります。


ビジネスにおいて、この「サンクコスト」を意識することは非常に重要です。事業再生・経営改善先では、これまでに投入したコストや時間に固執するあまり、全く新たな展開に踏み切れずにいる方々が多くいらっしゃいます。

例えば、既に時代遅れ感さえある外観や内装でお客様からも不評なのに「これまでに多額のコストをかけて作り上げてきたから」と、頑なに変えようとしない経営者がいらっしゃいました。それが集客の一番大きな問題点だったのですが、それはそのままに、PRやネット戦略にどんどん資金を投入されていました。それでも売り上げは改善されていません。私達はお客様アンケートを徹底して行い、お客様の声として内装を大幅に変更するように提案、経営者の方も最終的には渋々了承されましたが、内装リニューアル後には20%以上の売り上げ増となっています。


多くの人は「もったいない」「せっかくやってきたから」と、これまでつぎ込んできた時間・コストを基準に今後を考えがちです。そのお気持ちはとてもよくわかります。しかし重要なのは「これから先」であり、自分がいま感じている「もったいない」が本当に「もったいない」のか、それとも新たな無駄を生み出すだけの勘違いの「もったいない」なのか、を冷静に判断する必要があります。私たちが改善をお手伝いする時、過去の積み重ねには何の思い入れもありませんので、そこをスパッと切ることができます(もちろん、今後の改善に重要なもの・ことは残しています)

サンクコストは既に消費しているので戻ってきません。そのサンクコストは忘れて「新たなコスト(費用・時間・労力)」を追加する意味だけを考える必要があります。「もったいない」という気持ちは非常に大切です。この気持ち自体はなんら否定していません。ただ「もったいない」という勘違いが、さらに新たな無駄を生み出すほど「もったいない」ことはありません。


あなたが「もったいない」と思っている「これまでの時間・コスト・労力」は、本当にもったいないものですか?

【サンクコスト】・・・ この言葉はビジネスでもプライベートでも、ぜひ頭に入れておいて欲しい内容です。

写真は、仕事で香港に行った際ランチで頼んだ麺類です、ものすごく口に合わず「これはきつい・・・」と思いながらも「もったいない」「お腹空いているいるけど他に頼む時間がない」から食べきったものです。食べ物は粗末にしてはいけないので、この場合の「もったいない」での完食は正解・・・・でしょう!?

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