25.07.07
「頑張っています」を感じさせない接客 … 一つ上のスキル
記事一覧»
温かく心地よい接客をされる宿は数多くあり、その触れ合いを求めてリピートされるお客様も多くいらっしゃいます。
あるホテルでGMを務めていた頃、私が新人スタッフに「次の成長ステップ」として伝えていたのが、「頑張っている姿をお客様に見せないホテリエになろう」ということでした。先輩と新人の大きな違いはここに現れます。
新人たちが一生懸命に頑張る姿は素敵です。ただ、お客様はその頑張りを敏感に感じ取り、何となく気を遣ったり、落ち着かなかったりします。頑張りがにじむ空気感は、お客様に安心感を与えるどころか、逆に損ねてしまうのです。
同じ仕事をしていても、先輩スタッフは余裕があるように見えます。しかし実際には、内心テンパっているときもあります。そんな時でも表では余裕を見せ、バックヤードに入った途端に走り、大至急で課題を解決します。
下の写真は、私が現役時代に最も館内を歩いたであろう日の記録です。表舞台で涼しい顔をしているだけでは、この歩数にはなりません。裏に回った瞬間から、何度も全速力で走っていました。3万歩を超える日は多くはありませんが、2万歩を超える日は日常茶飯事でした。それでも表では涼しい顔を崩さず接客をしていました。
「頑張っている姿を見せないホテリエ」。これが、新人スタッフにぜひ目指してほしい次の成長ステップです。
余談ですが、GM時代、部下から「なぜ汗をかかないのですか?」と聞かれたことがあります。実際には首から下は汗だくだったのですが、不思議と顔にはほとんど汗をかきませんでした。これも「涼しい顔でいる意識」の影響だったのかもしれません。

CATEGORY
WRITER
Director