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矜持・・・プロフェッショナルが持つ矜持とは

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これまでいろんな職業のたくさんのプロフェッショナルと呼ばれる方々とお会いしてきました。どの方も私たちが感動するくらいの「プロフェッショナルとしての矜持」を持っておられます。


その方たちの矜持がいったいどんなものなのか、いくつか具体例を挙げてみます。有名人ではなく、あえて私たちの身近にいらっしゃった方々を取り上げます。

ただ、あまり詳しく書くと各業界的にはすぐばれてしまう様な方々ですので、かなりぼかして&プロフィールの一部は同類・同レベルのものに置き換えて紹介します。



あるホテルの総料理長は元々は国際的なホテルの総料理長であり、また史上最年少でイタリアの賞を受賞している方です。この方の作る料理は本当にお世辞抜きに絶品です。時々まかない料理を作って貰っていましたが、それが心底楽しみでその日頑張っていたと言っても過言ではありません。


このシェフは食材へのこだわりが半端なくその国際的なホテルをやめて田舎のホテル総料理長に転職したのも、自分で畑を購入/自ら納得できる野菜を育てる/その野菜を使った料理でお客様をおもてなしする為です。


○○ホテル総料理長という国際的にも通用する肩書ではなく、日々磨きをかける自らの腕と生み出す料理でお客様に120%以上ご満足頂く、という「現場での勲章(ご本人談)」をとても大切にされています。


このシェフは企業の肩書ではなく、ご自身のお名前と料理でお客様を呼べる・満足させることが出来る、まさに自分自身がブランドで、そしてその行動を自身の矜持とされています。



もう引退された方ですが「最後の晩餐」を請け負っておられた出張料理人がいらっしゃいました。病気や老いで死期も近く、その為食事制限も解除され美味しいものを食べていいと言われた方向けの料理です。


この方の凄いところは「どんな値段でもご満足頂ける料理を作れるところ」です。最後の晩餐だからと奮発される方にも、病床でもうお金に余裕がなく少額しかご準備出来ない方にも、みなさん満足できる料理を準備されていました。


お客様からのリクエストをお伺いして準備されますが、もちろん金額的に用意できないものもあります。その場合は代替品でそれを上回るご満足を得られる料理を準備されていました。


「この方々の最後の晩餐なので、失敗は一切許されない。ご満足頂けなかったらお金は要らない、という問題ではない。俺の作る料理が、一生の最後の食事なんだよ。すごいだろ?」とお話されていたことは痛烈に心に刻まれています。


もちろん本当に死の直前だとお食事は採れません。少しでも気力体力が残っているうちに最後の晩餐として美味しいものを食べたい、というお客様のご要望に応える内容です。



コンピュータがまだ一般的ではなかった頃(家庭ではワープロを使っていた頃)、日本でも数本の指に入るといわれたプログラマーの方がいらっしゃいました。いまは海外でのんびり暮らされているようです。


大学生の頃にこの方と宮崎市内の居酒屋で飲んでいたのですが、突然居酒屋の電話が鳴りその方が呼び出されました。そして「悪い!お客様のコンピュータが動作不良の様で対応しに戻らなければいけなくなった!」とそのまま宮崎市内から都内目指してタクシーで帰られ始めたです。


後で聞いた話では神戸市内まで行ったところで新幹線が動く時間になったので、そこから乗り換えて都内に戻り、すぐお客様対応し事なきを得たとのことでした。


当時の宮崎市内は、途中は高速道路が繋がっていないところもあり、かなり不便な「陸の孤島」とも呼ばれていました。それでも少しでも早く戻れるような方法として「タクシー + 新幹線」を選択されたようです。


また居酒屋に電話があったのは、都内のご家族に逐一居場所を知らせておき、普段から何かあったらすぐ連絡取れるようにしてあったようです。



私は同僚やスタッフに「ほんの少しでもお客様からお金を貰っている以上、みんなプロだ。」とよく伝えます。これは基本中の基本です。ただ、上記3例を見るだけでも「プロフェッショナル」は「お金を貰っている以上、プロだ。」とは全く次元が違うことは良くお分かり頂けると思います。


私自身、ホテリエやコンサルで仕事をしている以上、プロです。しかしこの定義は「その仕事で生活できるお金を頂いている」からです。


私は自分自身のことをこの定義での「プロ」と呼ぶことはありますが、上記3例の様ないわゆる「プロフェッショナル」と呼ぶにはまだまだ足元にも及ばないと思っています。

自分自身の感覚ですが「プロ」と「プロフェッショナル」は、単に略語の関係ではなくこの二つの響きには大きな差があるように感じています。


自分をプロとは呼んでもプロフェッショナルとは呼べない。もっと徹底して自分に厳しくし続け、自分を追究し続けた人にしか生まれない「プロフェッショナルの矜持」があると思います。


それを身に付けられるよう、もっともっと頑張ります。



写真は無料素材:写真「AC」 https://photo-ac.com

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