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プライシング戦略 ・・・ お客様の「入口の壁」を検討しましょう

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ホテル・旅館・飲食店の皆さんは「ご宴会プラン」「パーティープラン」「○○コース」など、飲み放題を含めたパック料金を設定されることがよくあると思います。

先日あるホテルのプライシング戦略を分析し、その結果に顕著な差が出ていましたので今回はその内容を取り上げます。内容的にはある程度ぼかして変更してお伝えしますので、ノンフィクションに基づいたフィクションとしてお読みください。


このホテルはあるグループの中の一つであり、以前は各グループ館ともそれぞれエリアマーケティング及びローカルフィット戦略を行い、その地域にあったサービス商品造成を行っておりました。それがある時から本社主導に変わり、全国統一のPR戦略やマーケティングに変わりました。

このホテルでは飲み放題込ご宴会の最低受注料金を7,000~ とし、それ以上はお客様のご予算に合わせて準備としておりましたが、それが最低7,500~と変更されました。本社にとっては各グループ館の動きを統一し、チラシやPR戦略などを一括することで費用的なスケールメリットがあります。


しかしこの施策は業績に顕著に反映されました。結果からお伝えすれば、毎月の予算を100%前後達成していた流れが7,500~に変更後は90%近くまで落下、そこに危機感を感じた現場の動きで再度7,000~に戻したところ100%強への復活です。

ただこのホテルの平均単価は8,000程ですので、7,500~という値段自体がお客様層を限定したわけではありません。この「プライシング戦略」を分析した結果の問題点は、お客様の「入口の壁」です。

前述のように、このホテルではお客様のご予算に合わせてご宴会プランを御用意しており、最低受注料金 7,000 以上であればいくらでも受注可能です。では、この最低7,000を7,500に変更しただけでなぜこれだけの業績の差が出たのでしょうか?


それは「お客様の心理」「お客様に与える心理的影響」を考慮していない為です。この最低価格変更により、下記の影響が生まれています。



■ 最低7,000~が7,500~に変更になったことにより、これまで7,500でご宴会をされていたお客様はご自身たちのご宴会はそのホテルにとっての「最低ライン」になる

→ この場合、お客様は最低6,000~などの他のホテルに移ることにより、最低よりも数段上がったご宴会を期待できる。


■ お客様側からみた場合、最低7,000~のホテルで7,500のご宴会を発注すると、その上乗せ分で料理のUpグレードなどが期待できる。

→ 幹事の立場から考えた場合、少しでもよいものを仲間に提供できる。


■ 競合他社の価格と比較せずに設定したため、エリアで一番高い値段設定(最低価格)となっている。

→ ただし、それが意図的なブランディングやビジネス戦略であれば問題ない。



お客様が問い合わせをされる時、まず気にされるのは価格と内容です。その最低価格が自分たちの予算より高かった段階で対象外になるのはもちろん、費用対効果を望めない場合(最低ランクのパック)も最初から対象外になることは多くあります。

お客様の「入口の壁」を取り払いまずはご連絡を頂いて、お客様のご要望に応じることができるか、代替プランの提案ができるか等、次の動きを取れるようにすることが大切です。


お客様は想像以上に「入口の壁」を感じられます。まずは入口を入って頂くことが重要です。その後にやはりやめておきますと帰られた場合でも、次につながる可能性は大いにあります。一度コンタクトしたことのある店には、初回よりも壁を感じたり敷居を高く感じたりする心理は軽減されています。

この「入口の壁」を十分に検討してみましょう。ただし、これは「安くしましょう」という単純な戦略ではありません。あくまで自社現状を客観的に眺め、お客様にどう映るのかを新規客目線で捉えよう、という意味です。逆に「高くしましょう」という戦略もあります。

自社のエリア状況、ブランディング、お客様層、利益などを考慮して「適正な入口」にしましょうという意味です。




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