19.01.22
ポジティブシンキング ・・・この言葉を都合よく解釈しない
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ポジティブシンキング ・・・「これがビジネスの成功の基です」「これがなんでもうまくいく一番大切な部分です」「どんな時でもポジティブでいましょう」
いろんな本やサイトにこの様に書いてあります。私たちも基本的にはその考えなのでこれ自体には賛成なのですが、これを自分の良いように解釈して知らず知らずのうちに「自分への言い訳」に使っている人が多く見られます。
例えば「ここまでやったからあとは出たとこ勝負だ!」や「やるだけやったからあとは運を天に任せる!」など、この言葉が普段から普通に出ている人たちです。
こんな人たちはポジティブシンキングではなく、単なる「能天気」です。
例えば先日のセンター試験のように、試験前まで全力で復習を行って、開始直前に「あとは運を天に任せる!」という開き直りで落ち着きを取り戻すのは重要です。出たとこ勝負なのも当然です。
ただこの様に「全力で何かをやってきて、その場面に来たら開き直る」姿勢が重要であって、それ以前に開き直っているのは能天気以外の何ものでもありません。
事業再生先で私たちが気になるのは、「私はポジティブなので」という人に限ってほぼ「能天気な」人です。なるようになるさと思っている人が自分をポジティブと表現しているようですが、それはポジティブでもなんでもありません。ポジティブシンキングだけではどうにもならないことは、ビジネスをやっている皆さんはよくお分かりだと思います。
ポジティブシンキングとは自分が置かれた立場において、ポジティブな面とネガティブな面の両方を詳細に把握し、ネカティブ要素の影響を考慮しつつもポジティブな方をチョイス、そちらへかじ取りすることです。
この言葉はさもポジティブなことだけを考えていれば良さそうな表現ですが、意味するところは全体を客観視し、全体像をきちんと精査・把握した上でポジティブに考えることです。
仕事が行き詰まったり処理が多くなってくると、「どうにかなるさ」と言ってサボり気味になるのは能天気な人です。そんな人の仕事は誰かが必ずフォロー/リカバーしています。そして能天気な本人はそれに気づいていません。
自分がポジティブシンキングな人間だと思っている人は、ビジネスや人生におけるネガティブなことを自分がきっちりと把握しているか自問自答してみて下さい。それを詳細に精密に把握した上で「どうにかなるさ」ではなく「どにかしてやろう!」とポジティブに動いているのか自省してみて下さい。
仮に経営がうまくいっておらず、今にも潰れそうなホテルがあったとします。
「お客様にご迷惑をかけるかもしれない」「継続してご利用頂けないかもしれない」「大きな制約がかかってくるかもしれない」とネガティブな点を洗い出しつつも、そういう状況であれば「せめてリピーター様には過去最大に満足して貰おう」「今までで一番良かったと言ってもらおう」と考え、そして動くのがポジティブシンキングです。
「これからどうなるかわからない」「私たちはどうなるのだろう」と、あなたが経営者でなければ変えられようもないことをひたすら心配するだけ、はネガティブシンキングです。
「経営者がやることだから、俺たちにはどうしようもない。なるようになるさ。」と、特に何も変わらず淡々と業務をこなすのは能天気です。
自分のネガティブな面、環境、精神をきちんと説明でき、その上で「どうにかしてやろう!」と前向きに思っている人こそ、ポジティブシンキングできている人です。
ネガティブな面を把握していないポジティブシンキングは、ビジネス上はあり得ません。
逆にネガティブ面をよくわかっているポジティブシンキングは、非常に大きなパワーを持ちます。
「どうにかなるさ」ではなく「どうにかしてやろう!」がポジティブシンキングです。
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