24.01.12
「古くてボロい」は価値になる … +清潔を目指しましょう
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弊社は「(自称)古くてボロい」宿・店の皆さんから、多くのご相談をいただきます。最初に誤解の無いようお伝えしますが、私たちがそう呼ぶのではなく「うちの宿は古いから…」「建物がボロいんだよね」など、口々に同じようにおっしゃることをまとめただけです。
私たちはこの「古くてボロい」宿・店が大好きです。お世辞ではありません。新築や真似では決して醸し出せない魅力がそこにあります。年月を重ねたからこそ出せる味と魅力、空気感があります。それこそが最大の魅力・価値になっています。多くの場合、それをマイナスと捉え、新しい施設や設備に造り変えようとされます。その結果、どこにでもあるこぎれいな宿になります。魅力半減です。また経営が厳しい際に投資を行うことで、余計な負担が増え、結果的に事業継続断念/倒産の例も珍しくありません。一か八か、最後の手段 etc だいたい失敗します。ぜひ「古くてボロい」価値に気付いて下さい。いまから改めて、その雰囲気を創り出せますか?そんな魅力を持った宿・店が他にありますか?
皆さんがやるべきことを箇条書きにします。ぜひこの項目を意識して、その価値を活かして下さい。
■「古くてボロい」には「けど清潔」が必要です。「古くてボロいけど清潔」になるよう、意識して下さい。
■3S(接客・清掃・清潔感)は、中小宿が大手やファンドと対等に闘える部分です。大きな投資は必要なく、自分たちの意識次第です。清潔感は清掃だけでなく、例えば服装、館内の掲示物、整理整頓などを含みます。「掃除はちゃんとしています」だけでは、清潔感は十分ではありません。
■危険個所は必ず修理・修繕して下さい。その部分のハード投資は惜しまず行いましょう。事故が起こった場合、取り返しのつかないことになります。
■宿設備において、弊社が勝手に「三大ガッカリ」と呼んでいるのは、投資額の小さい順に「デュベではない/洗浄便座ではない/セントラル空調」の3点です。空調は大きな投資が必要なため現実的に厳しい宿は多いと思います。最低でもベッドはデュベスタイルへ、またできれば便座も洗浄タイプにしましょう。
■浴室の古さもお金がかかる部分ですが、まずシャワーヘッドを1万円前後の物に変えるだけでも口コミに大きな変化が見られます。余裕があればドライヤーも風量の多いものに変えると、さらに良い評価を獲得できます。
私たちは、大きな投資はお勧めしていません。まずは小さなことをしっかりとやることが大事です。その後に大きなことをやればいいのです。最初からの大きな投資は、そのまま自社の首を絞めます。ぜひ上記の点を意識しながら、「古くてボロいけど清潔」を目指して下さい。
*写真は、私の祖父が愛用していた腕時計で、いまは私が受け継いでいる「安くてボロいけど唯一無二」の物です。
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