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ルッキズム(Lookism)・・・ 外見至上主義/ホスピタリティ現場における実情と対策

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 先日、Twitter上で「一重まぶた」「二重まぶた」に関する投稿が集中、トレンド入りしました。外見に関する話題、例えば「○○はかっこよすぎる」「○○は数千年に一人の美形」など、SNS上では容姿についてのありとあらゆる投稿を見かけます。ルッキズム(外見至上主義)に関して、私たちホスピタリティの現場でも避けては通れない問題・現実があります。今回はその点をルッキズムの面からありのままに捉え、コラムにまとめます。なお、外見のことだけに着目し、性格や内面・能力は考慮しない内容です。


 まずルッキズムという言葉をご存じない方のために、Wikipedia から概要を引用します。


■■■ Wikipedia ■■■

 ルッキズム(英: Lookism)とは、身体的に魅力的でないと考えられる人々に対する差別的取り扱いのことをさす。

 身体的魅力はよいものと関連づけられる。他方、身体的に魅力がないことは悪いものと結びつけられる。多くの人々が、身体的特徴で他者を判断する。その人がどのような身体的特徴を持っているかによって、人々の対応の仕方は変わるのである。”美しきものこそ善”というステレオタイプに関する研究によれば、身体的に魅力的な人たちはそのルックスで得をする傾向にあったという。身体的に魅力的な人はよりポジティブな評価を受けるし、身体的魅力は能力の評価にも強い影響を与えていた。身体的に魅力的な人々はそのようなステレオタイプから利益を得ていたといえる。平均してみれば、身体的に魅力のある人物は友人がよりたくさんいて、より優れたソーシャルスキルを持っており、性生活の頻度も多かったことが研究からわかっている。しかし、このような身体的魅力を持っていても、主観的な幸福レベルにはなんら影響を与えないという。

■■■ 引用終 ■■■


 簡単に言ってしまえば、「美形の人は得をする/そうではない人は得をしない(特別扱いされない)・損をする」ということです。これは皆さんも経験上お分かりだと思います。このルッキズムがホスピタリティの現場ではどのように現れているか、私たちが直面した現実の例を挙げます。私たちが外見で差別しているということではなく、これが現状だ、ということでご理解下さい。


前提として「能力や性格には全く差がない(外見以外、全く同じ)」場合

■ 面接の段階ではお客様からの印象を考慮し、より美形の方が選ばれる傾向にあります。

■ 同期入社が数名いる場合、フロントなど多くのお客様に接する場所へは、より美形の方が配属される傾向にあります。

■ お客様の中には「お前じゃなくて、あっちのかわいい子に持ってこらせろ」と、平気でおっしゃる方もいらっしゃいます。


 このようなことは、皆さんも容易にご想像いただけるでしょう。実際のビジネス/日常生活では至る所で直面することです。(ルッキズム自体の良し悪しは今回は置いておきます。)

 ホスピタリティ業界を目指す若い人たちの相談を受けると、この外見の悩み、例えば○○さんみたいにかわいくない/身長が低い/太りすぎ/痩せすぎ/薄毛など、ありとあらゆる見た目コンプレックスの話が出ます。しかし、ホスピタリティに関わろうとしてくれているその気持ちを、私たちはどうにか叶えてあげたい。お隣韓国では就職のために整形を行うことはもう当たり前のようですが、日本ではまだ一般的ではありません。

 私たちのようなごく一般の美形でもなんでもない人たちが、イケメン/美人さんたちに唯一対抗できる外見、それは身だしなみおよび清潔感です。身体的なコンプレックスは、何らかの方法で少しはカバーできるかもしれません。ただ完全に変えてしまうことは不可能です。そのため、お客様や周りの方に少しでも良い印象を与えるため、外見に関して自分自身でやれることは、徹底した身だしなみと清潔感を心がけることです。

 例えば私がホテル現場に出ていた当時、毎日スーツとネクタイの組み合わせを変え、それをエクセルの表にまとめ、同じ組み合わせは3か月以上の間を空けるようにしていました。「あの人は毎日同じ服装だな」と思われないように、です。もちろん、シャツもネクタイもスーツも靴も綺麗な状態にしています。また、少しでもお客様に不快な思いをさせないよう、朝晩二回入浴し、顔のヒゲだけでなく指や手の甲の毛も剃っています(料理提供時の手の動きを考慮して)。


 外見を変えることができない以上、徹底してやれることは「身だしなみ/清潔感」です。外見の良い人たちには容姿で敵わなくても、清潔感や身だしなみは同等、またはそれ以上を目指せるはずです。また初対面のお客様からの評価は美形に軍配が上がっても、常に身だしなみを整えて気持ちを込めて接客していれば、そのおもてなしに対する気持ち・姿勢を認めて下さるリピーター様は大勢いらっしゃいます。

 このルッキズムはホスピタリティの現場では大きく影響しているという点は、否定しようがない現実です。その上で自分ができる限りの徹底した身だしなみ/清潔感を心がけましょう。


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