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ジーン・ディクソン効果 ・・・ あの宿・店のプラン・宴会は凄いと思わせる方法の一つ

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あるシティホテル・バンケット部門の再生を行った際、「ジーン・ディクソン効果」を意識して動いていたことがあります。ジーン・ディクソンは以前は世界三大預言者とも呼ばれていた、アメリカの占星術師です。


ジーン・ディクソン効果とは


彼女は非常に多くの予言をしましたが、そのほとんどは外れています。ただ、ケネディ暗殺を予言・的中させたり、一部の当たった内容をメディアが取り上げ、強烈な印象を残しました。そして外れた内容は次第に忘れ去られ、彼女は一流の占星術師として人々の意識に刷り込まれていきました。

簡単に言えば大きな成功の印象が強く残り、失敗やミスは忘れ去られていく現象です。


■ Wikipedia にはこのように説明されています。(以下引用)■

ケネディ暗殺を予言したとして有名になったが、外れた予言も多いことで知られる。そのことから、当たった予言に比べて外れた予言が忘れられがちなために、実際より的中率が高いように思い込まれることが、「ジーン・ディクソン効果」と呼ばれたりしている。

■ Wikipedia 引用終 ■



私たちが企業に対して感じるジーン・ディクソン効果の例


これは成功している多くの企業でも見られます。私たちは「あの企業は成功してすごい」「あの商品は大ヒットだ」などと思っていますが、実はその前に失敗した数々のことを忘れ去っています。

例えばUNIQLOはいまでこそフリースやヒートテックなど大ヒット商品を抱え、また商品の品質もよいブランドとして認知されていますが、創業当初は「1,2回洗濯したらダメになる」と言われていました。また大ヒット商品の陰には鳴かず飛ばずで消えていった品もたくさんあります。私が愛用していた生地が厚めのハンカチも、いつの間にか消えていました。ただ、UNIQLOはそのような失敗は忘れ去られ、いまはファストファッションの雄として認知されています。



ジーン・ディクソン効果をホテル・バンケットのブランディングに応用


この心理効果を、シティホテル・バンケット部門再生に活かしました。このホテルは他のホテルと全く変わらない宴会プランばかりで、何の特徴もなく、また立地的にも他館に劣っていました。

そこで「あのホテルの宴会プランは凄い!」とエリア内のお客様に植え付けることが最優先課題で、ジーン・ディクソン効果を応用することにしたのです。


具体的には

■ 全スタッフから「このホテルでやってみたいParty」を募集、少しでも可能性があるものをプランとして仕上げる。(数打ちゃ当たる戦法)

■ 商品内容は同じ(料理内容・価格帯)でも、対象として考えるペルソナ毎に魅力的なタイトルをつけた別プランとして準備

■ 最終的には「お客様のやりたいことはなんでもやりますプラン」みたいなタイトルのものまで登場

■ このプラン作成と並行して、エリアマーケティング及びローカルフィット戦略を行い、常にプラン内容を精査・更新


多い時には10数種類のパンフがロビーに並んでいたと思います。これはこのホテル規模であれば多すぎますが、まずは「あのホテルにはいろんな宴会プランがある」というブランディングのためです。また、例えば「忘年会」でも「会社」「仲間」「女子会」などにパンフが分かれていると、そのターゲットにはより興味を惹くプランとなります。


ブランディングの為に多くのプランを準備しましたが、もう一つの理由、それが「ジーン・ディクソン効果」狙いです。何かを当てようとして一つのプランを練りまくるより、多くのプランを用意してお客様に一番訴求するプランは何か、それを選んで貰う。また多くのプランの中から1,2つのプランが大人気になれば、先述のジーン・ディクソン効果のように「(たとえ他のプランがダメでも)あのホテルの宴会は凄い」という口コミが生まれます。

上記の施策は、そのシティホテル・バンケット部門を早急に立て直す必要があり、十分なマーケティングの時間がなかったためジーン・ディクソン効果狙いでとった動きです。ある程度軌道に乗っているバンケット部門にはこの施策は合わない面があります。その点は自社でご判断ください。

またこれを宿泊プランに応用しようとされた宿がありますが、あまりにも打ち出しすぎて逆に見にくい(選べない)というお叱りを受けたこともありますので、その点のさじ加減は慎重に。





 

 

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