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口コミ高評価の鍵は“高得点”ではなく“最低点” ・・・ サービス平準化の重要性

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 宿泊業では「より高いレベルを目指す」ことがよく語られます。お客様の記憶に残る体験や感動をつくるために、プラスの価値を積み重ねる姿勢はもちろん重要です。しかし、実際の口コミ評価を左右するのは、その高い瞬間ではなく、「サービスのブレがどれだけ小さいか」という点です。私たちはこの理想の姿を「何も不満がない宿」と呼んでいます。

 今回、仮作成した口コミ評価の図は、その違いを示したものです。A館は全体のレベルが高く、強みも多いように見えます。しかし、ところどころに大きな落差があります。たまたまミスが重なったり、やる気のないスタッフに当たったりするなど、お客様満足度が揺れやすい状態です。一方、B館は突出した強さこそ少ないものの、いつ泊まっても一定の安心感があり、サービスの質が安定しています。高いレベル面では両館に差があっても、結果として平均点は同じで、体験の安定性には大きな差が生まれています。A館のお客様の中には「もう今後は利用しない」という方がいらっしゃるかもしれません。

 口コミで点数評価を決める大前提として、お客様はまず「大きな不満がないかどうか」を重視されます。言い換えれば、サービスの最高点ではなく、最低点の高さが宿の評価を形づくるのです。高評価宿が常に高い平均点を維持できる理由のひとつは、この「最低ラインの安定性」にあります。低評価が非常に少ない。皆さんが高評価宿を目指していらっしゃるなら、目標とする宿の低評価数と、自社の数を比べてみて下さい。結構違うはずです。

 つまり、高評価宿を目指す方々は “上を伸ばす” ことと同じくらい、“谷をなくす” ことに力を注ぐ必要があります。基本動作、清潔感、案内の統一、チェックの徹底など、特別ではない “当たり前の基礎や基本の積み重ね”こそが、「何も不満がない宿」をつくり、結果として高評価の土台になります。特別な体験の提供は、その土台があってこそ成立します。

 感動体験は、安定したサービスの上に初めて成り立ちます。A館は“谷をなくす”ことで、口コミ平均点数は一気に高くなります。日々の現場で基本を磨き、小さなミスを一つずつ減らしていく。その積み重ねこそが、宿の未来像を大きく変えていきます。

 今回取り上げた「何も不満がない宿」については、下記ブログをご参照ください。

 

何も不満がない宿 … 中小宿泊施設が目指すべき姿


※高評価の宿には、期待値が高く目が肥えたお客様が多くご宿泊されます。宿ごとに対象とする顧客セグメントが異なるため、口コミ点数を単純に比較することはできません。今回は「低評価口コミが全体に与える影響」の一例としてご理解ください。




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