24.05.21
あえて“梅”を推す ・・・ 松竹梅のゴルディロックス効果を逆手に取る戦略
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皆さんは「ゴルディロックス効果」という言葉をご存じでしょうか?日本では『松竹梅の法則』とも言われ、私たちは知らず知らずのうちにこの心理に影響されています。
人は三段階の選択肢がある場合、真ん中を選ぶ傾向があります。一般的に見かけるのは料理ランク、ドリンクやポテトのサイズ、サブスクでは真ん中のスタンダードコースなど。日常生活を思い出してみると「なにげに真ん中」を選んでいることが多くあります。
マーケティングの面ではこのゴルディロックス効果をベースに、「一番売りたいもの」を真ん中に設定することがよくあります。メニューA・B・Cの場合はBで、自社・店が利益を出せて、また極端に高くはない(一番高いAが売れたらラッキー程度)、そんな価格・商品設定です。一般的な戦略で、もちろんこれはありです。
弊社お取引飲食店数軒ではこの考えをさらに応用し、「Cでも十分満足」戦略(仮称)を取っています。店員さんからのお勧めはもちろん、店頭やネット上でも「うちは一番安いCでも十分美味しいので、まずはCを食べてください」とPRしています。もちろん「一番売りたいもの」をCに設定する戦略です。

実はこのC、もともと「売りたい価格帯のB」だったものを、あえて一番下に再配置した商品です。そしてA・Bは“見せ玉”として設定価格を少し高くしておく。すると、お客様は「一番安いCでも十分満足」と感じ、初回来店のハードルがぐっと下がります。Cにご満足いただけると、次回リピート時にはBやAになることもよくあります。売りたい商品をあえてCに置いてお勧めすることで、自然と次回以降の単価アップにもつながっています。
今回ご紹介したのは、よくある「ゴルディロックス効果」を少しひねったアプローチです。本当に売りたいものを“あえて梅”として打ち出すことで、お客様の心理的ハードルを下げ、結果としてリピーターや単価アップにもつながります。こんなちょっとした工夫が、お店のファンを増やすきっかけになるかもしれません。
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