20.08.20
うまくいかないホテル・旅館・飲食店 ・・・ 業績不振なサービス企業がいますぐやるべきこと
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当社取引先に限らず、全国各地の宿泊施設や飲食店の皆さんは、いま必死に経営改善に取り組んでいらっしゃると思います。
料金やサービス、プランの見直しをされている企業も多いのですが、現時点ではマーケットのニーズ・ウォンツ・デマンドが回復しておらず、プライシング戦略ではお客様には訴求しません。
いまやるべきことは、自社の強み・弱みをさらに正確・詳細に把握し、それをPR戦略および自社の魅力拡大に最大限活かすことです。また自館をご利用いただいたことのない方々に、ご利用の最初の一歩を踏み出していただくことです。その二点について、簡単にまとめていきます。
■お客様の生の声を聴く
アンケートや口コミでお客様のお声を聞いているので、良い・悪いは把握している、という経営者は多くいらっしゃいます。それ自体は必要なことですが、もっと大切なことは「お客様の生の声を聴くこと」です。
例えばアンケートに「がっかりした」と書いてあった場合、その「がっかりした」をどのような口調で言われるのか、それがとても重要です。ちょっとがっかりなのか、かなりがっかりなのか、クレームレベルのがっかりなのか・・・
私たちが取引先の経営改善に入る際、過去のアンケート類も見ますが、もっとも重要視するのはお客様へのインタビューです。生の声を聴く、これほど貴重なヒントはありません。まずはここに取り組みましょう。
■リピーター様への聞き取り その1
リピートしてくださるお客様に「自社を愛していただける理由」をお尋ねしましょう。「安いから」という理由は参考になりませんが、それ以外どんなご意見を聞けるでしょう?
料理、接客、サービス、お風呂、環境、距離 ・・・ そんなお客様の答え、それが自社の強みです。自分達では気づかないこともあるかもしれません。この強みを強化する、表に出す、売りにする。これが経営安定・改善の最も近道です。この強みをPRやマーケティングの前面、そして全面に出していない企業も多く、この強み・魅力がお客様に「知られていないと選ばれません」。
自社の強みを明確に把握し、活かせる方法を早急に検討しましょう。
■リピーター様への聞き取り その2
特にざっくばらんにお話できるリピーターの方々とは、「ほんの少しでも気になっていること」を聞いてみましょう。
大きな不満はいろんなアンケートや口コミで知ることができます。この方々からは、通常の口コミでは上がってこない本当に小さなことが出てくるかもしれません。
ある旅館では数人のリピーター様から「あの場所からバックヤードが少し見えていて、整理されていない」というご指摘がありました。オーナー曰く、「普段見慣れているので自分たちには違和感がなかった」とのことで、早急に改善されました。たんに少し棚の位置を工夫されただけです。
このように、自分たちが慣れてしまい見落としていることは多々あるはずです。この点に関しては、ご近所の同業者や旅行代理店担当者に見てもらったり、逆に自分たちが他館を見に行ったりすることもあります。
自分でどんなに気を付けていても、気づかないのが慣れです。慣れは見落とします。
■新規お客様への聞き取り
初めてお越しになったお客様に「今回ご満足いただけた点」をお尋ねしましょう。
リピーター様にお伺いした内容は、良くも悪くも視野が狭くなっている可能性があります。そこがお気に入りであり、その目的でリピートしていただいているからです。その部分をカバーするには、まっさらな目で見たご意見も必要です。それがリピーター様と同じ場合もありますし、違う場合もあります。ただ、どちらも活かせる強みに違いありません。
■新規客獲得へ注力する
経営を安定成長させるためには、既存のお客様だけでなく、新たな顧客を開拓する必要があります。この場合、新規客がどうしたら自社利用していただけるか、そのための施策を考えていきます。
一般の方は「あのホテル・旅館・お店には入りにくい」と思っている場合が多く、経営者はこの点をもっと認識・問題視しましょう。そのハードルの高さは、自分たちが想像している以上です。地元利用が少なければ特にその傾向が強いと思われます。中の見えないレストランに入りにくい雰囲気を感じたことは、皆さんも経験あるでしょう。
「まず、とにかく、どうにかして、一度は」お越しいただくためにはどうしたらいいのか?を考えることは、新規顧客開拓には重要です。当社お取引先では次のような対応で「最初の一歩」誘導を行っています。
・ご宴会をしていただいたことのない企業を対象とした「宴会試食会」を開催。通常価格の半額で、幹事様含め6名様まで試食会に勧誘。開催候補日を数日設定し、宴会場にテーブル準備。お料理と会場の雰囲気を体験して貰います。
・過去に面接を受けに来た新卒・パート募集の方々で、残念ながらご縁のなかった方たちへの各種券の配布。一度は興味を持っていただいた方々なのに、ご縁かなかった場合は足が遠のいてしまいます。ぜひお客様としてご利用いただきましょう。
・スタッフ全員の名刺自体が特典付(サービス券のような名刺)になっており、あらゆるところで名刺交換と同時にサービス券配布と同様の効果をもたらしています。
・スタッフの名刺が二つ折りになっており、館内の様子やスタッフの笑顔を載せて、心理的なハードルを下げるように工夫しています。
・パートナー企業(仕入れ先や業務委託先)のスタッフさん達へ割引券・サービス券の配布し、ご自身でご利用いただいたり、周りの方に配っていただくようお願いしています。
・中が見えにくいレストランでは、入り口に室内の様子(一人でも入りやすい、席にも余裕があるなど)を掲示して、心理的ハードルを下げています。
■まとめ・・・まずはこの二点を考えましょう
お客様とお話しすることで自社の強みを正確に詳細に知り、それを新たなお客様に知っていただくにはどうしたらいいか、そのPR戦略や強み拡大戦略を急ぎ練り上げましょう。
また、自社をご利用いただいたことのないお客様にどのように「最初の一歩」を踏み出していただけるのか、そのきっかけ作りを準備しましょう。
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