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値引き/割引 ・・・ なんとなくやってしまうお得意様への対応

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 ホテル・旅館・飲食店にとって、ご贔屓にしていただけるお得意様・リピーター様、またそんな方々からご紹介いただいた新規のお客様は、非常に重要で大切な存在です。そのため、お会計の際に「今日はおまけしておきます」や「今回は少し値引きしておきますね」というサービス精神が出てきます。

 誤解のないようにまずお伝えしますが、この気持ち自体はとても素敵です。ホスピタリティ産業に関わる皆さんにとって、とても重要なことです。ただ今回「お得意様にはいつもなんとなく値引きサービスしてしまう」という皆さんに、ぜひ考えて欲しいことがあります。それは「その値引き・割引を別の何かに置き換えられないか」ということです。


例えば、


■ お会計時に500円の値引きをする代わりに、お食事中に500円の生ビール1杯サービス

■ リピーター様用クーポン「次回のご利用金額10%OFF」という内容の代わりに、「特製○○料理一品サービス」


など、簡単に言えば「入ってくるキャッシュが減るサービスを、同額の別のものに置き換える」ということです。


 うまくいかないホテル・旅館・飲食店でよく見かけるのは、会計の段階でキャッシュを減らしてしまう、言い換えればどんぶり勘定で割り引いてしまう行為です。

 例えば、お会計時に500円を値引きしてしまうと500円というキャッシュそのもの(≒利益)が消えてしまいます。しかし、お食事途中に500円の生ビールをサービス提供した場合、負担するのはその原価分(仮に原価率30%の場合150円)です。この場合お客様目線で見ると、どちらも「500円得した!」と感じていただけるでしょう。単純に考えれば、生ビール2杯サービスしても原価面ではまだ300円の負担で、500円値引きよりマシです。それなのに、お客様は「生ビール2杯1,000円もサービス!」となります。

 また割引クーポンも同様に、5,000円の10%オフで500円のキャッシュが消えますが、料理一品サービスはその料理原価分のみの負担となります。この場合も売値と原価でバランスを考えます。


 細かいことは気にしない/飲み物や料理をサービスするなら合計金額から引いても同じこと、とおっしゃるオーナーもたまにいらっしゃいます。接客業として、その場の雰囲気やサービス精神はよくわかります。重要なのは「自分が行うサービスにはどのくらいの原価がかかっているのか」「費用がかかっているのか」を、常に把握しておくことです。キャッシュで500円サービスするのと売値500円の飲み物・料理をサービスするのは、残る利益には大きな差が生まれます。お客様の気持ち的にはほぼ同じ感覚でとらえていただけます。

 値引きをするな、という話ではありません。上記のことを普段から意識し理解した上で値引きされていれば、それは問題ないでしょう。ただ、現金値引きを物でのサービスに置き換えれば、キャッシュは残り、お客様はより大きな満足感を得て貰えるかもしれません。

 今回のコラムはこの様な視点で、「いつもなんとなくリピーター様へ値引きサービスしてしまう」という方々へのアドバイスです。




Image by Preben Gammelmark from Pixabay 

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