20.03.31
キャンセル料(CXL)・・・ 取るか、取らないか。その判断基準は?
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東京オリンピックの延期が決定となり、チケット類はもちろん移動費や宿泊代金は返ってくるのか?という話題が出ています。また、海外旅行に行く予定だった友人たちはCXL不可の格安航空券&ホテルを取って支払済だったのですが、新型コロナウイルスの影響で入国不可となり、その代金払い戻しの件で旅行代理店と少々揉めています。
国内のホテル・旅館・飲食店さんも新型コロナウイルスの影響でCXLが続いていますが、口コミや今後のリピートなどを考慮しCXL料をとらないところがほとんどで、それはお客様との関係を考えた日本人らしい判断だと個人的には思っております。
現状は極端ですが、ホテル・旅館・飲食店の「CXL料を取るか、取らないか」という点は、悩みの種でもあり、様々な意見がみられます。新型コロナウイルスでの極端な現状は置いておいて、今回は平常時の「取るか、取らないか」の基準を考えてみます。
結論から申し上げれば、基本スタンスは「キャンセル料は取る」です。食材など仕入経費はもちろん、見えにくいところでは他のお客様ご利用を断っている、ご予約を頂いている間にチャンスロス(機会損失)しているなど、実害が発生しています。ホスピタリティ産業とはいえあくまでビジネスですので、キャンセル料はきちんと取りましょう。
その上で、まだ悩まれるお宿・お店の方には、私たちはお取引先とこんなお話をしています。一つは「LTVを取るか、現在のキャッシュを優先するか」、もう一つは「そのお客様の責任か、それとも他の要因か」。この2つを基準に考えるようアドバイスしています。それぞれを詳しく説明します。
【LTVを取るか、現在のキャッシュを優先するか】
LTVとは Life Time Value の略で、簡単に言えば「そのお客様が一生の間にどれだけ利用し、お金を使っていただけるか」です。詳しくは別ブログ「LTV・・・自社を愛して下さるお客様を逃さない」(https://delighting.co.jp/blog/ltv/)をご覧ください。
お客様が何らかの理由でご予約をCXLされる場合、そのお客様が今後何度もご利用いただけそうか、またはインバウンドのように単発で今後の可能性が極端に低いか、でLTVを判断します。
LTVが高いお客様は今後使っていただける金額や回数を想定し、今回のCXL料は無しと判断することもありです。逆に今後のご利用がほぼ見込めないLTVの低いお客様には、既定のCXL料を請求することもありです。
弊社が担当していたホテルでは、年に4回ほどご利用頂いている団体イベントが、会長ご家族のご不幸で直前CXLとなった際、150万円程を請求なかったことがあります。また逆に、海外からの大型団体が前日にCXLしてきた時は、全額300万強の請求を行い無事回収しました。
このようにLTVを基に判断することは一つの方法です。ちなみに団体会長からは「先日は本当に助かった。ありがとう。」とお礼の言葉と共に、関連団体の新規ご利用をご紹介いただき、こちらも継続してご利用いただいております。難しい判断ではありますが、この件では150万以上の新規売上が発生しています。
【お客様の責任か、それとも他の要因か】
そのCXL理由が、例えばお客様ご自身のご都合によるものか、天候や天災などによるものか、で判断することも一つの方法です。
たまにニュースになっているいわゆる「ドタキャン」や、いくつかの店に掛け持ち予約を入れて当日の気分で食べたい料理を選んで他はCXLなど、お客様個人の意図的行為によるものは断固請求します。このようなお客様はLTVの面からも期待が薄く、また同じような行為に悩まされる可能性がありますので、規定通りの請求を行う方がベターです。
それに対し(現状の新型コロナウイルスも当てはまりますが)台風が接近していたり大雪が予想されるなど、お客様自身は来たいと思っているが、安全を考えると利用は厳しい状況では、今後のリピートご利用を考えて請求しないという考え方もありです。この場合、目先のキャッシュ(CXL料)は入りますが、後日また利用される可能性は低くなります。
上記内容は「席だけ予約」「貸し切り予約」などその規模によって店舗側の経営判断は必要ですが、CXL時判断基準の目安の一つとして参考にされて下さい。
今回はCXL料の請求に関してまとめました。もちろん、各店・宿の状況はそれぞれ違いますし、またご予約の内容や提供する物、日時によって対応は全く異なります。あくまで弊社が一般的に示すCXL時の判断基準であって、皆さんの経営・店舗状況に合わせてご判断下さい。
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