20.03.21
CPA ・・・ 現状での焦った集客施策は無駄かも?
記事一覧»新型コロナウイルスで観光業界は大打撃を受けており、当社にも連日「どのように集客すればいいか」「どうすれば売り上げを維持、または減少を最低限に抑えることができるか」という相談を頂いております。
正直なところ、コロナが落ち着くまでは根本的な解決策はありません。現状に合わせた対処療法となり、その館の特性を活かし、少しでもキャッシュを稼ぐ方法をアドバイスしています。
そんなご相談の中で、特に気になるのが「広告やPRをもっとやって、お客様に来てもらおう」という考え・行動です。
もちろん、手持ち資金に余裕があったり明確な費用対効果が見込める場合には問題ありませんが、「余裕は全くないが、この急場を凌ぐためには仕方ない」というお考えであれば、一旦立ち止まって冷静に判断する必要があります
CPA(Cost Per Acquisition / action) を明確にし、その行動が本当に利益を生むのか、見た目のトップラインが上がるだけでなくボトムラインにも有効なのか、という点を見極めましょう。
CPAを簡単に言えば、【 経費総額 ÷ 獲得顧客数 】 です。業界によってこの表現や基準は変わりますが、ホテル・旅館・飲食店の皆さんはまずはこの数式を基準に考えてよいと思います。
例えば、顧客平均単価 20,000円のホテルが新規顧客獲得のため下記のような施策を行ったとします。
A. 新規顧客獲得として、100万円の予算を組んでWebでのPRやチラシ宣伝を行い、100名の新規顧客が獲得できた場合、そのCPAは1万円です。トップラインは200万プラスとなります。ボトムラインは100万プラスです。
B. 新規顧客獲得として、100万円の予算を組んでWebでのPRやチラシ宣伝を行い、10名の新規顧客が獲得できた場合、そのCPAは10万円です。トップラインは20万プラスとなります。ボトムラインは80万マイナスです。
顧客平均単価は20,000円ですので、CPAを基準にするとAは利益を出せ「やってよかった!」となりますが、Bは大赤字で「やらなければよかった」という結果です。
本来はもっと細かく計算し、このような単純な数字にはなりません。例えば現場の各種原価や新規獲得客のリピートご利用(LTV)などを考慮してAでもダメだったりBでもOKだったりするのですが、今回は説明用の分かりやすい単純計算で示しています。
新型コロナウイルスへの対策として、「とにかく集客を!」と余裕のない資金をPRにつぎ込もうとしてしまっていないか、一旦立ち止まってください。そして過去のPR・宣伝施策を見直し、CPAがどんな結果だったか、そして現状でそれだけのパフォーマンスを出せるのか、熟考するこが大切です。
宣伝するな、ということではありません。資金に余裕がない時に「一か八か」でお金をかけて集客にかけることは無駄(というよりも危険)、ということを一度考えてみて下さい。もしかしたら「集客のために何もしていない不安」から「とになく何かしなければ」と、残り少ないキャッシュを焦ってつぎ込んでいるだけかもしれません。それこそ致命傷になりますので、十分お気を付けください。
写真:無料写真素材 写真AC より
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