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宿や飲食店におけるブランディングとマーケティングの違いとは?〜スタッフの態度や制服、送迎バスまでがブランドをつくる〜

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 お取引先のホテルにて、管理職の皆さんと「ブランディング&マーケティング」に関するミーティングを行いました。このテーマ、最近いろんな現場で関心が高まっていて、「うちのブランドって何だろう?」「SNSでの発信がうまくいかない…」といったご相談をいただくことも増えています。



ブランディングとマーケティングは、何が違う?


 まずよくある誤解が、「ブランディングとマーケティングは同じもの」という認識。たしかに両者は重なり合う部分も多く、同時進行で進めることも少なくありません。業種によってはそれもありだと思います。ただ、宿泊業や飲食業など、“現場”や”スタッフ”も重要な評価対象である業態では、ブランディングとマーケティングは“別プロジェクト”として取り組んだ方が、結果的にうまくいくことが多いと感じています。


マーケティングは「外向き」、ブランディングは「内向き」も大事


・マーケティング:どんな媒体で、誰に向けて、どんな魅力を発信するか。チラシ、SNS、広告など“外向きの戦略”が中心。

・ブランディング:その魅力を“誰が体現しているか”。つまり、スタッフの態度やマナー、言葉遣い、制服、清掃の丁寧さなど、“内側の整え”も含まれる。

 たとえば、マーケティングで「丁寧なおもてなし」と発信しても、現場がそうなっていなければお客様の信頼を得ることはできません。逆に、現場のスタッフの印象が良ければ、それだけで「ここ、なんか良いな」と自然とお客様の中でブランドが形成されていくのです。


現場での具体的なブランディング施策


 あるお宿で取り組んだ改善事例をご紹介します。

・スタッフ制服の刷新と、定期クリーニングの実施
 → 制服が古かったり汚れたりしていると、それが館の清潔感の無さにも繋がってしまいます。まずは見た目の清潔感をアップ。自然と姿勢や所作にも意識が向きました。

・社名入り送迎バスの運転マナーを徹底
 → 宿の名前を背負って走っているバスは、まさに“走る広告”。急ブレーキや無愛想な運転を見られていたら、印象はマイナスです。

・エントランスで待機するタクシー会社の方々にも協力依頼
 →「待機中の居眠り」「スポーツ新聞の熟読」「喫煙」などは、知らず知らずのうちにマイナスイメージにつながってしまうため、ご遠慮いただくようお願いしました。お疲れだったり、待機時間が暇なことは重々承知しておりますが…

 こういった細かな積み重ねが、結果として「この宿、感じが良いな」「ちゃんとしてるな」という印象につながっていきます。


近隣住民や周囲の目も意識したい


 宿泊者だけでなく、日々のスタッフの姿や施設の雰囲気は、ご近所の方々や地域の方の目にも触れています。特に地域密着型の宿や飲食店であれば、地域に応援される存在になるかどうかも大切なブランディング要素。ブランディングは、「表に出す広告」だけではなく、「日々の積み重ね」で築かれていくものです。


高級である必要はない。ブランドは“信頼の証”


 ブランディングというと、「高級ホテル」「有名レストラン」だけの話と思われがちですが、まったくそんなことはありません。

・「アメトーーク」で“○○ホテル大好き芸人”として紹介されたビジネスホテルさん

・1,000円前後で食べられる行列のできるラーメン屋さん

 このような存在も、お客様の中ではしっかりと“ブランド”として確立されています。大切なのは、「価格」よりも「信頼」や「共感」です。


あなたのお店・宿のブランドって何ですか?


ぜひ一度、自分たちの「ブランド」について考えてみてください。

・うちのお客様が求めているのはどんな体験?

・その体験を、現場スタッフが自然と届けられているか?

・その魅力を、ちゃんと外にも伝えられているか?

 こうした問いを立ててみると、自分たちの価値が明確になってきます。そしてその価値が明確になったとき、自然と発信(マーケティング)にも力が宿ります。

 ブランドはまずは「意識してつくるもの」ですが、そのうち「にじみ出るもの」に変わります。だからこそ、まずは現場から。そして、その積み重ねこそが、あなたの宿・お店の未来をつくっていきます。


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