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宿・店の「エリア・ブルー・オーシャン戦略」を考える

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 ビジネスでは、「ブルー・オーシャン戦略」という言葉をよく聞きます。簡単に言えば、全く新しい商品やサービスを創り出し、競争相手のいない穏やかな海(ブルー・オーシャン/新たな市場)で自社の優位性を確立する戦略です。詳細な説明は、ネット上にたくさんありますのでご参照下さい。

 この戦略をまるで魔法の言葉のように紹介する記事は多く、それ自体は否定しません。それが実現できればいいのにな、と憧れます。ただ現実問題として、宿泊施設や飲食店、観光地や自治体などで「全く新規の商品・サービス」を創り出すのは困難です。その期間中に体力消耗してしまうこともあり得ます。

 そこで弊社がお取引先に提案しているのが「エリア・ブルー・オーシャン戦略」です。これは私たちが勝手に名付けた戦略で、本来の「全く0からの新規を生み出す」戦略とは異なりますが、次のような視点で取り組んで貰っています。


1. 他社にあって自社にないもの/こと。その中で、自社エリア内にもないもの/ことを探す。

2. 他エリアで人気や話題になっているもの/ことで、自社エリア内にないもの/ことを探す。


 これは日本国内に限らず、海外も含みます。簡単にまとめると「自社の商圏エリア内で、他社との差別化になり得るもの/こと」を取り入れ、自社で行うことを意味しています。全く0から創り上げるよりハードルはかなり低く、また近隣他社との差別化になります。

 あるお宿さんでは、障がい者の方々やLGBTQの皆さんご利用に注目し、利用しやすい・相談しやすい環境を整え、いまはその地域で「○○であればあの宿」と言われるようになりました。近隣他社が取り組んでいなかった部分です。また、ある飲食店さんでは開店時のみですが、お好みの座席を予約できるようにしています。お決まりの席で朝の一杯やモーニングを楽しみたいというお客様は多く、他店との差別化になっています。

 両件とも「他地域にはあるが、自社エリア/近隣にはない」ことです。「そんなこと、うちの近くでやっているよ」という読者の方も多いでしょう。ただ、この宿・店の近隣では皆無でした。そこが着目点です。お勧めは、大手がやっていたり、マスコミで取り上げられたことではなく「SNSなど限られた発信で見つけたこと」です。これだけを目的に探すのはかなり大変なので、各スタッフさんが日々眺めているSNSで気になることがあれば、気軽に共有して貰える仕組みを作りましょう。

 なお、この内容は「気付いた時にはやっています」と言われることがあります。もちろんそうでしょう。ただ、自分のスキル/戦略の一つとして意識しいつでも引っ張り出せる状態と、「気付いたときにはやっている」にはかなりの差があります。ぜひ、意識しておいて下さい。中小の宿・店が差別化する時、一つのアイデアとしてこの「エリア・ブルー・オーシャン戦略」は覚えておくと役立ちます。

 ※冒頭の写真は私の手持ち本ですが、現在は新装版になっており、私も電子版がiPadに入っています。

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Strategy


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